面白い記事を見つけた。Wedgeオンラインの2023/8/4付「路線価で見えたオフィス需要の変化と大都市圏の今後」という記事。著者は、佐藤泰裕東京大学大学院経済学研究科教授。
この記事によって、以下のことを知った。
・行政区分ではなく、実質的な都市空間を定義し、その空間単位(「都市雇用圏」という。)で統計データベースを整備することを、東京大学空間情報科学研究センターで行っている。
・都市雇用圏(Urban Employment Area)は、次のように設定する。
(1)中心都市をDID人口(※)によって設定し、
(2)郊外都市を中心都市への通勤率が10%以上の市町村とし、
(3)同一都市圏内に複数の中心都市が存在することを許容する。
※ DID(Densely Inhabited Districts 人口集中地区)とは、国勢調査で設定される統計上の地区のことで、「原則として人口密度が1平方キロメートル当たり4,000人以上の基本単位区等が市区町村の境域内で互いに隣接」して「それらの隣接した地域の人口が国勢調査時に5,000人以上を有する地域」に該当するエリアのこと。
・中心都市のDID人口が5万人以上の都市圏を大都市雇用圏(Metropolitan Employment Area)と呼び、1万人から5万人のものを小都市雇用圏(Micropolitan Employment Area)と呼ぶ。
この記事には、大都市雇用圏の人口規模が時系列ランキングとして掲載されている。以下に一部を抜粋する。
順位 | 2015年 | 2005年 | 1995年 | 1985年 | 1975年 | 1965年 |
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1位 | 東京 | 東京 | 東京 | 東京 | 東京 | 東京 |
2位 | 大阪 | 大阪 | 大阪 | 大阪 | 大阪 | 大阪 |
3位 | 名古屋・他 | 名古屋・他 | 名古屋・他 | 名古屋・他 | 名古屋・他 | 名古屋・他 |
4位 | 京都・草津 | 京都・草津 | 京都・草津 | 京都・草津 | 京都・草津 | 京都・草津 |
5位 | 福岡 | 神戸 | 神戸 | 神戸 | 神戸 | 神戸 |
6位 | 神戸 | 福岡 | 札幌・小樽 | 札幌・小樽 | 札幌・小樽 | 北九州 |
この表によると、1位から4位までの順位に変動はない。京都・草津大都市雇用圏が思ったよりも大きいことがわかる。神戸大都市雇用圏よりも大きい。京都市・大津市・草津市は人の移動という面で見ると一体ということか。京都・草津大都市雇用圏の常住人口は280万人になる。