
知人から「ちょっと京都に行くんだけど、どこに行けばいい?」と質問されることが多い。京都の楽しみ方はいろいろだし、季節によって見どころも違う。普段は見られない所の特別拝観があったり、ライトアップしている時期もある。この投稿では「はじめての京都観光」の人に向けて、いくつかの観光名所を紹介してみたい。
大前提として、京都市内は東京都心と比べるとかなり狭いので、地下鉄と私鉄、そして市バスと徒歩を組み合わせれば、大概の場所は安価に移動できる。Google Mapで最寄りのバス停をクリックすると、行き先と経路が表示されるので、乗るバスに迷うこともなくなった。また時間を稼ぐには、タクシー利用も有効だ。ということでスタートしてみよう。
1)東寺
昔、歴史の授業で習った通り、桓武天皇が平安京に都を移したのが794年。それと同時にできた官寺が東寺と西寺、現存するのは東寺だけだ。それから29年後の823年、嵯峨天皇が唐から戻った空海に東寺を託す。空海は東寺を真言密教の根本道場に変える。現在の東寺の建物は、桃山時代から江戸時代にかけて再建されたものだが、空海が密教の教えを分かりやすく伝えるために具現化した講堂の立体曼荼羅は今でも見ることができる。
2)三十三間堂
時代は平安時代、平家が活躍していた頃、院政を敷いていた後白河法皇が住んでいたのが、京の都の公式な境界線のすぐ外側に築いた「法住寺(ほうじゅうじ)」だ。三十三間堂は、この法住寺の中に、平清盛からの資金提供を受けて1164年に建設された。1249年の火災で全焼したが、後嵯峨上皇によって再建され、現在では1266年に建てられた建物が残っている。1001体の千手観音像が規則正しく並ぶ姿は壮観の一言に尽きる。
1001体の千手観音、三十三間堂 - よそもんが京都で暮らす
3)金閣寺
室町幕府3代将軍足利義満の山荘北山殿を、義満の死後1397年にお寺としたのが金閣寺(正式には鹿苑寺)だ。金閣を中心とした庭園・建築は極楽浄土をこの世にあらわしたといわれている。金閣は舎利殿で、一層に釈迦三尊が安置され、二層目は観音殿、三層に仏舎利がおさめられているそうだが、中は非公開なので見ることはできない。大書院の障壁画には、もともとは伊藤若冲の作品が飾られていたが、保護のため1984年に相国寺承天閣美術館に移された。「月夜芭蕉図」と「葡萄小禽図」は常時公開されている。
4)二条城
時代は関ヶ原合戦の後、1603年に江戸幕府初代将軍徳川家康が、天皇の住む京都御所の守護と将軍上洛時の宿泊所とするために二条城を築城した。将軍不在時には、江戸から派遣された二条在番によって守られていた。1867年に15代将軍慶喜が「大政奉還」の意思を表明したのが二の丸御殿だ。絢爛な桃山文化の遺構が見られる。
1泊2日の京都旅行であれば、上記4ヶ所を回って、美味しい食事をとれば、結構お腹いっぱいになるだろう。もし時間に余裕があれば、次の3ヶ所を薦めたい。
5)広隆寺
平安京遷都以前から存在した京都最古のお寺で、600年代の初めの頃、秦河勝(はたのかわかつ)が建立し、聖徳太子を本尊としている。渡来人系の氏族である秦氏の氏寺だ。国宝指定第1号で「東洋のモナリザ」といわれる弥勒菩薩像はぜひ見てほしい。
6)宇治平等院
藤原摂関政治の全盛期を誇った藤原道長の別荘宇治殿を息子の頼通が1052年に寺院に改めた。頼通は、翌1053年に極楽浄土の宮殿をモデルにした阿弥陀堂(鳳凰堂)を建立した。堂内には、仏師定朝によって制作された丈六の阿弥陀如来坐像が安置されている。
平等院で阿弥陀如来の慈愛に触れる - よそもんが京都で暮らす
7)桂離宮
ここは事前予約がないと入れない。江戸時代の初め1615年頃に、八条宮家初代の智仁親王によって山荘造営が始まり基礎が築かれた庭園だ。智仁親王は106代正親町天皇の孫、107代後陽成天皇の弟に当たる。智仁親王は豊臣秀吉の猶子となったが、後に秀吉に実子鶴松が生まれたため、八条宮家(桂宮家)を創設することとなった。「京都の庭は一般的に借景に頼るが、ここは庭だけで勝負している」といわれるような美しい庭だ。
番外編として、海外からの観光客に特に人気の3ヶ所を紹介する。
8)清水寺
「清水の舞台」で有名な清水寺は、平安京遷都前の778年に開かれ、798年には坂上田村麻呂が仏殿を建立したと伝わる。本尊は国宝の十一面千手観世音菩薩(次回は2033年の開帳らしい)で、観音信仰の霊場として知られる。現在の伽藍の多くは江戸時代1633年に再建されたものだ。東山の高台に位置する清水寺から見下ろす景色も素晴らしいが、清水寺まで登る清水坂や五条坂、産寧坂の両側にはお店が連なり、歩くだけで楽しいエリアだ。
9)伏見稲荷大社
赤い千本鳥居が大人気の伏見稲荷大社、全国にあるお稲荷さんの総本宮だ。御祭神が稲荷山に鎮座されたのは奈良時代の711年と伝わる。稲荷山全体が神域とされる。JR奈良線の稲荷駅、京阪本線の伏見稲荷駅を降りてすぐの所にある。
10)嵐山
「渡月橋」からみる景色と嵯峨野の「竹林の小径」で有名な嵐山。嵐電嵐山駅を降りた所にある天龍寺は、室町幕府を開いた足利尊氏が1339年に開いた。建武の新政の実現に敗れた後醍醐天皇が怨霊化するのを恐れたためだといわれる。嵐山を借景とする天龍寺の庭は美しい。
そして最後に、もしあなたがデビットボウイのファンならば外せないのがココ。
11)正伝寺
ここは五山の送り火「舟形」近くの山を登るので、少し行きにくい。途中、京都ゴルフ倶楽部の電動カートに出くわすこともある。鎌倉時代の1273年頃、烏丸今出川辺りにあったお寺がはじまりらしいが、1282年に現在の地に移転した。後醍醐天皇の時代には洛北きっての名刹になったようだ。応仁の乱以降に荒廃したが、江戸時代の1653年になって、南禅寺塔頭金地院から小方丈を移築して再興された。この小方丈、元々は伏見桃山城の遺構で、縁側天井には鳥居元忠以下割腹して果てた人々の血の跡が残っている。小方丈前の庭は「獅子の児渡し」の庭といわれる。遠く比叡山を借景として、デヴィッド・ボウイが涙したといわれる景色が眼前に広がる。
比叡山を借景とした庭はここ正伝寺が一番か! - よそもんが京都で暮らす
以上。
あれー?
上賀茂神社や下鴨神社、銀閣寺や南禅寺、八坂神社や高台寺、建仁寺や祇園、大徳寺や龍安寺、仁和寺や北野天満宮、龍安寺や大覚寺、大原三千院や比叡山延暦寺は...と思われたかも。今回は「はじめての」というテーマで選んだのでご理解を。それでは楽しい京都観光を!






