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京都市の地下鉄と市バスについて

このところ「オーバーツーリズム」が問題視されている。京都市内でも、乗ろうとした市バスに満員のため乗れないケースも出てきているので、路線・系統や曜日・時間によっては、キャパシティオーバーになっているのは間違いない。そこで、京都市交通局が運営する地下鉄とバスについて、少し調べてみた。

最新では、令和4年度(2022/4〜2023/3)の決算が公表されていた。

これを見てちょっと意外だったのが、地下鉄の乗客数が市バスの乗客数を上回っていたこと。令和4年度の1日当たり乗客数は、市バス309千人に対して、地下鉄348千人であった。日頃目にする光景から京都は「バスの街」だと勝手に思い込んでいたが、地下鉄の方が市バスよりも多くの乗客を運んでいた。

乗客数で見ると、まだコロナ禍前(令和元年度の2020/2頃から影響が出始めた)の水準には戻っていない。直近では、コロナ禍前のピークに比べて概ね9割程度の水準に回復しているものと思われる。

令和4年度の決算はまだコロナ禍の影響が残っているため、地下鉄と市バスの収支はともに赤字であった。単年度では、地下鉄7億円、市バス8億円のマイナスとなっている。

地下鉄と市バスの長期収支は別の資料「京都市交通局令和3年経営レポート」(令和2年度:2021/3まで)にデータがあった。
(市バス)

(地下鉄)

単年度の経常損益は、市バスは平成14年度と平成21年度の間に黒字化、地下鉄は平成27年度に黒字化している。どちらもコロナ禍の影響で令和元年度から令和4年度までは連続して赤字となっているが、コロナ禍前の乗客数に近づいていけば黒字に戻ることが見込まれる。毎年赤字を垂れ流すという昔の悪い状況からは脱却している。

累積損益については、市バスは平成25年に累損を一掃し、その後もプラスを維持している。地下鉄は初期の設備投資額が大きい(烏丸線東西線の建設費は合わせて8000億円程度らしい)ため、毎期の減価償却費が大きくなる。このため、3000億円を超える累損を残しているが、現金収支はプラスを維持しているため、債務がどんどん膨れ上がる状況にはない。

市バスについては、さらに路線・系統別の営業係数(100円の収入を得るために必要な費用を示す指標で、100未満であれば黒字、100以上であれば赤字ということになる)が公表されている。

令和4年度では、バス路線74系統のうち、黒字12系統、赤字62系統という状況である。市内中心部を走る200番台の路線は8系統あるが、204系統と208系統を除いた6系統が黒字となっている。200番台以外で黒字の6系統は次の通り。

  • 3系統(松尾橋〜北白川仕伏町)13320名/1日平均
  • 5系統(岩倉操車場〜京都駅前)12412名/1日平均
  • 9系統(西賀茂車庫前〜京都駅前)9768名/1日平均
  • 17系統(錦林車庫前〜京都駅前)5475名/1日平均
  • 46系統(西賀茂車庫前〜岡崎公園)9317名/1日平均
  • 86系統(梅小路公園三条京阪前)689名/1日平均

公共サービスとしての役割と収支健全化のバランスを上手く調整することが必要だが、なかなか難しい課題ではある。