よそもんが京都で暮らす

退職して京都に移住して2年目突入!

報道ほど激戦ではなかった?京都市長選2024

京都に移住して1年、初めての市長選挙に行ってきた。結果は与野党が相乗りで推薦する松井候補が「予想通り」当選した。

今回の有権者は113万8567人。前回市長選(2020/2)の有権者115万9615人より21048人減少した。前回は、投票率40.7%で、門川市長が21万票余りを獲得して4選を果たした。今回は、投票率は41.7%で、当選した松井候補は17万7454票を獲得した。

報道各社は、当選した松井候補と2位の福山候補の得票差が、前回(門川候補と福山候補)の4万9000票から1万6000票に縮少したことから、「大接戦」「猛追かわす」と見出しに書いた。しかし、次のグラフの通り、「非共産」候補と「共産」候補とで分けてみる(※ここでは共産候補と分類した福山候補は、自身では共産系候補ではないと言っている)と、それぞれの得票数は前回からほとんど変わっていない。つまり、共産票が伸びたわけでも、激戦となって投票率が高まったわけでもない。

前回との違いは、「非共産」の立候補者が2人から4人に増えたことだ。今回の得票数が3位だった村山候補(前回も立候補した)と同4位だった二之湯候補が得票数をもっと伸ばしていれば、2位の福山候補に漁夫の利が転がり込んだかもしれない? 

が、こういう時は、有権者に(「非共産」で共喰いしている場合ではないという)危機バネが自然と働くものだ。

いずれにしても、候補者には「税収の△△%を振り向ければ◯◯の公約は実現できます」というような言い方はしてほしくない。政策を行うための(地方の)税収は、(地域内の)法人と個人の所得に大きく負っている。法人も個人もしっかりと稼げる環境を作ることが大前提である。法人や個人がどれだけ頑張って納税しているのか、それがわかる市長であってほしいと思う。

 

最後に、地盤の弱い候補者はどう戦うべきであったのか? これについて感じたことを書いてみる。

1)マスコミの番組・紙面作りにはのらないこと

財政再建策は?」「オーバーツーリズム対策は?」「人口減少対策は?」といった横並びの質問にまじめに答えていた。誰も反対できないような模範解答を返しているだけでは、地盤を持つ候補者との間に明確な違いは生まれない。

2)地元益を明確に定義すること

政府の定める日本の国益(国家安全保障戦略)は次の通り。少なくとも、この国益を守るために政治は行われている。

①主権と独立を維持し、国民の生命・身体・財産の安全を確保する

②経済成長を通じてさらなる繁栄を実現する

③自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的な価値や国際法に基づく国際秩序を維持・擁護する

では、京都市の利益(地元益)とは何か? 候補者には「京都市が絶対に守らなければならないと考えること」を自分の言葉で語ってほしかった。今回の選挙ではここが全く見えなかった。というか、どの候補者も(マスコミにのせられて)足元の課題への対応に答えるだけだったように思う。だから、本当は何をしたい候補者なのかがさっぱりわからなかった。

3)地元益を最大化する方法を訴える

地元益が上手く定義できないと、それを最大化する方法も決まらない。

 

地盤を持つ候補者と同じ戦い方をしている限り、次回も風を起こすことはできないと思う。4年間しっかりと準備してほしい。

 

(追記)ダイアモンドオンラインの八幡和郎さんの分析です。

京都市長選の「真の勝者」は誰?“勝利の自民”も“善戦の共産”も喜べないワケ
八幡和郎: 評論家
経済・政治 DOL特別レポート
2024年2月15日 13:00
https://diamond.jp/articles/-/338805